森見登美彦さんの『宵山万華鏡』(集英社文庫)

どんなストーリー?
祇園祭宵山の一日を舞台にした6篇のお話。
手を繋いで寄り道する小学生の姉妹や、子どもの頃に宵山で起きた“事件”が忘れられない女の人、繰り返す一日から抜け出せなくなってしまった男の人 など、様々な登場人物の視点で「宵山」を覗いていきます。
この本自体が「万華鏡」みたいでした。
面白そうだな、と手に取ったら、ハラハラして、ワクワクして…、どんどん不思議な世界に引き込まれていく。1つの話を読むごとに「宵山の一日」の見え方が変わっていく。
1日1篇読んでいこうと思っていたのですが、後半は特に続きが気になって、3篇を一気に読んでしまいました。連作短篇集ならではの“物語が繋がっていく感じ”がとても好きです。
祇園祭の開催期間であり、京都以外の地域でもお祭りの空気が身近なものになってくる7月頃に読むと、より雰囲気を味わえると思います。
宵山で登場人物たちに起こる出来事は、怖かったり、切なかったり、でもどこか温かさもあって…そんな多彩な“不思議”を楽しめる、おすすめの1冊です。